[アップデート] Windows Server 2025 AMIがリリースされました
しばたです。
本日からWindows Server 2025の公式AMIが提供されました。
AWSからのアナウンスは以下となります。
AMI概要
既にWindows Server 2025イメージはGovCloudとすべての商用リージョンで利用可能とのことです。
東京リージョンでも英語版をはじめとした各国語版がされるはずです。
「はず」としているのは、アナウンスがあった直後に検証した時点では「英語」、「日本語」、「韓国語」、「中国語(簡体)」、「中国語(繁体)」のAMIの存在を確認したのですが、英語以外のAMIに不具合があった様で[1]いまは英語版AMIのみが公開される状況になっています。
東京リージョンでAWS CLIからAMIを検索すると、
# Windows Server 2025 イメージを検索
aws ec2 describe-images \
--filters 'Name=platform,Values=windows' 'Name=name,Values=*Windows_Server-2025-*' \
--query 'reverse(sort_by(Images, &CreationDate))[*].{Architecture:Architecture, CreationDate:CreationDate, ImageId:ImageId, Name:Name}' \
--output table
以下の様に英語版だけの公開となっています。
# 記事公開時点では英語版のみ公開されている
$ aws ec2 describe-images \
> --filters 'Name=platform,Values=windows' 'Name=name,Values=*Windows_Server-2025-*' \
> --query 'reverse(sort_by(Images, &CreationDate))[*].{Architecture:Architecture, CreationDate:CreationDate, ImageId:ImageId, Name:Name}' \
> --output table
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
| DescribeImages |
+--------------+---------------------------+------------------------+--------------------------------------------------------------------+
| Architecture | CreationDate | ImageId | Name |
+--------------+---------------------------+------------------------+--------------------------------------------------------------------+
| x86_64 | 2024-11-06T03:47:30.000Z | ami-0e00369ed908210f9 | TPM-Windows_Server-2025-English-Full-Base-2024.11.04 |
| x86_64 | 2024-11-06T03:47:25.000Z | ami-0d509b561e109ce68 | TPM-Windows_Server-2025-English-Core-Base-2024.11.04 |
| x86_64 | 2024-11-06T03:47:23.000Z | ami-0c9f2452cafefe5d1 | BIOS-Windows_Server-2025-English-Full-Base-2024.11.04 |
| x86_64 | 2024-11-06T03:47:20.000Z | ami-029540673fcaad5b0 | Windows_Server-2025-English-Full-SQL_2022_Web-2024.11.04 |
| x86_64 | 2024-11-06T03:47:18.000Z | ami-004841f1618cad3c0 | Windows_Server-2025-English-Full-SQL_2022_Standard-2024.11.04 |
| x86_64 | 2024-11-06T03:47:13.000Z | ami-0cdee883e998fc905 | Windows_Server-2025-English-Full-SQL_2022_Express-2024.11.04 |
| x86_64 | 2024-11-06T03:47:10.000Z | ami-0cb8f13b7c46aa80b | Windows_Server-2025-English-Full-SQL_2022_Enterprise-2024.11.04 |
| x86_64 | 2024-11-06T03:47:01.000Z | ami-0f9df543cf0f4d8db | Windows_Server-2025-English-Full-Base-2024.11.04 |
| x86_64 | 2024-11-06T03:46:57.000Z | ami-03d4cc2afc802955e | Windows_Server-2025-English-Core-Base-2024.11.04 |
+--------------+---------------------------+------------------------+--------------------------------------------------------------------+
こちらについては不具合が解消されしだい対応言語が増えていくでしょう。
イメージの種類
本日時点では
- フルリリース版のイメージ (現時点では英語のみ。日本語、韓国語、中国語版の存在は確定している)
- Server Coreのイメージ (英語のみ)
- NitroTPM有効イメージ (英語のみ)
- SQL Serverインストール済みのイメージ (英語のみ)
- SQL Server 2022 Express
- SQL Server 2022 Web
- SQL Server 2022 Standard
- SQL Server 2022 Enterprise
の提供となっており、ECSやEKS向けイメージは未提供です。
特定用途向けAMIに関しては順次対応していくものと思われます。
インスタンスタイプ
Windows Server 2025 AMIはNitro世代のインスタンスタイプのみサポート対象となります。
旧世代のインスタンスタイプは利用できないのでご注意ください。
また、UEFIブートがデフォルト設定になり、BIOSブートで使いたい場合はBIOS-Windows_Server-2025-English-Full-Base
AMIを選ぶ必要があります。
OSエディション
提供されるOSのエディションは上位エディションのDatacenter Edition
のみとなります。
これは過去OSと同じ方針ですね。
利用料金
Windows Server AMIの利用料金はOSのバージョンに依存しません。
具体的な金額は料金ページで確認してください。
Windows Server 2025 新機能
Windows Server 2025は今月2日(日本時間)にGAしたばかりで以下のブログで概要がアナウンスされています。
新機能に関してはこちらにまとまっています。
Windows Server 2022の時はOS内部動作に関する更新が多かったのに対しWindows Server 2025は結構目立つ新機能が多い印象です。
AWSに関係しそうなものをいくつか取り上げると、
- Active Directory Domain Service (ADDS)の性能・機能強化
- 新しい機能レベルの追加をはじめ、かなり多くの改善が入っている
- Credential Guardがデフォルトで有効化済み
- Windows 11と同様のUI
- Dev Driveのサポート
- アカウント設定の「メールとアカウント」でMicrosoftアカウントや、職場または学校アカウントをサポート
- 残念ながらEntra ID Joinは非サポートの模様
- Explorerの右クリックから7zとtarの圧縮をサポート
- OpenSSH(
sshd.exe
)がデフォルトインストール済み- 以前は「機能の追加」をする必要があった
- デフォルトでは停止しているので「起動」する必要はある
- Windows TerminalとWinGetがデフォルトインストール済み
あたりでしょうか。
Windows 11と同様のUIになっているのでEC2だけでなくAmazon WorkSpacesで使える様になると喜ぶ人は多そうです。
Windows Server 2025で非推奨の機能
また、Windows Server 2025ではいくつかの機能が非推奨になっているのでご注意ください。
AWSに関係するものとしては、wmic.exe
が開発停止になったことから要追加インストール(FoD)に変更されており、この影響を受けSSM AgentやEC2Launchの動作に不具合が起きていました。
# SSM Agent起動時のエラー
# * wmic.exe が無いことによりOSバージョンの取得とそれに基づく判定処理に失敗している
2024-11-07 04:28:55.6403 ERROR [IsAllowed @ startup_windows.go.159] [ssm-agent-worker] [StartupProcessor] Error occurred while getting OS version: exec: "wmic": executable file not found in %PATH%
2024-11-07 04:28:56.2046 ERROR [mdsSwitcher @ mdsinteractor.go.271] [ssm-agent-worker] [MessageService] [MDSInteractor] Unable to determine if platform is Windows Server 2012 or earlier: exec: "wmic": executable file not found in %PATH%
# EC2Launch v2起動時のエラー
# * wmic.exe が無いことにGPU周りの情報取得に失敗している
2024-11-07 04:28:46 Info: Installing ElasticGPUs manager
2024-11-07 04:28:46 Error: Error running task: failed to run task 'preReady-installEgpuManager-0': fork/exec C:\Windows\System32\wbem\wmic.exe: The system cannot find the file specified.
こちらは近いうちに解消されると思いますが、利用者の環境においても類似の事象は起き得るでしょう。
このためWindows Server 2025を導入する際は事前検証を念入りにしておくことをお勧めします。
ちなみに少し前に話題になったWSUSの非推奨化については
Windows Server Update Services (WSUS) is no longer actively developed, all the existing capabilities and content continue to be available for your deployments.
という状況で利用自体は問題ありません。
延長サポートも含めればあと10年もつ[2]ので、率直なところ今から後継を考える形でも大丈夫だと思います。
あとPowerShell 2.0に関して
The Windows PowerShell 2.0 Engine has been removed
とあるものの、実際には従来と変わらず「デフォルト未インストール。後から追加可能」という状況でした。
非推奨になってから約8年経つので流石に削除して構わないと思うんですが現実は厳しい様です...
試してみた
ここからは実際に動作確認していきます。
東京リージョンで前述の英語版AMI(ami-0f9df543cf0f4d8db
: Windows_Server-2025-English-Full-Base-2024.11.04)を使って新規にインスタンスを構築します。
構築手順や接続方法は従来通りですが、Nitro世代のインスタンスタイプのみのサポートとなります。
作成したインスタンスにRDP接続するとこんな感じです。
見た目は完全にWindows 11ですがちゃんと「Windows Server 2025 Datacenter」です。
Windows Server EC2の壁紙はEC2Launchが初期設定しており、Windows Server 2022では旧世代OSの壁紙を設定する少し行儀の悪い設定だったのですが、Windows Server 2025ではシステム設定の壁紙を使う様に改善されていました。[3]
初期インストールされているAWS関連のソフトウェアは
- EC2Launch 2.0.2046
- SSM Agent 3.3.1230.0
- aws-cfn-bootstrap 2.0.29
- AWS Tools for PowerShell v4.1.691
となっており、特にAWS Tools for PowerShellについては従来のAWSPowerShell
モジュールからAWS.Tools.*
なモジュールに切り替わっていました。
正直これは予想外でした。
あとは標準でMicrosoft TerminalとWinGetがインストールされているのでソフトウェアの追加が非常に楽になっています。
これは便利ですね。
補足 : SSM AgentとEC2Launch V2の不具合について
先述の通り現時点ではwmic.exe
が存在しないことによりSSM AgentとEC2Launch V2の起動時にエラーがでる様になっています。(SSM Agent 3.3.1230.0とEC2Launch v2.0.2046は両者とも本日時点での最新バージョン)
特にSSM Agentに関しては次の様なエラーメッセージが発生してセッションを張れません。
Your session has been terminated for the following reasons: Plugin with name Standard_Stream is not supported in current platform. Step name: Standard_Stream
GitHub上では「wmic.exe
が存在しないことによりOSバージョンを取得できずAWS-UpdateSSMAgent
ドキュメントの実行に失敗する」という報告も出ています。
一応追加でwmic.exe
をインストールすれば問題を解決できましたが、個人的にはwmic.exe
無しで動作する新しいバージョンのリリースを待つべきだと愚考します。
# (要管理者権限) WMICを別途追加する : 可能だが実施はお勧めしない
Add-WindowsCapability -Online -Name WMIC~~~~
最後に
以上となります。
Windows Server 2025のリリース自体がつい先日のことなのでEC2側もまだこなれていない印象です。
日本語版も試せない状況ですのでもう少し様子をみて再チャレンジしてみようと思います。
一度日本語版AMIからEC2インスタンスを起動したものの、パブリックなRDP接続、SSM Session接続、コンソール接続一切不可の状況でした... ↩︎
延長サポートの終了は2034年11月10日予定です。 https://learn.microsoft.com/en-us/lifecycle/products/windows-server-2025 ↩︎
正確にはEC2Launch v2.0.2046からの改善で将来的には他バージョンのOSも改善されそうです ↩︎